【レトロ】ブラザー JP8-431 カナ文字が打てる電動タイプライター
シルバーウィークですね。今年は5連休ですが、特にすることもないので大物というか撮影が大変なものを片付けておこうと思います。
今回紹介するのは、以前のOLYMPIA Travellerの記事でサイズ比較のために横へ置いていたブラザーのタイプライターです。あのとき「ちょっと変わりもの」と書いたのは、カナ文字が打てる電動タイプライターだからでした。

基本情報
| 商品名 | BROTHER Elite / POWER CARRIAGE 12 |
|---|---|
| サイズ(mm) | 384x355x133 (LxWxH) |
| 材質 | 金属+プラスチック |
| 製造年 | 1982年(暫定) |
| 製造国 | 不明 |
| 価格(当時) | 不明 |
| キー配列 | QWERTY系統+カナ配列 |
| 電源 | AC(50/60Hz切り替え式) |
超絶アバウト解説
色々調べた情報とか実機を見て分かったことをゆるーく解説します。 一応、下調べはしているつもりですが間違ってたらごめんなさい。。
ブラザーとタイプライター
言わずもがな、皆が知る大企業。プリンターのイメージが強いかな。 ブラザー公式の製品史によると、ブラザーは1961年にポータブルタイプライター第1号機「JP1-111」を発売し、事務機分野へ進出したらしい。
というかブラザーって最初ミシンだったんですね。ミシンとか使わないし作ってることすら知らなかった。
JP8-431について
型番は付属していた保証書から確認しました。製造年を確認できる資料が見つからなかったため、表では保証書に残る購入年の1982年を暫定的に記載しています。実際の製造年はそれ以前の可能性があります。

保証書は本票だけでなく、販売店が記入するカードと修理記録欄も残っていました。


保証規定も別紙で付属しています。

このJP8-431は表示画面や記憶機能を持つ電子タイプライターではなく、モーターの力で従来型の活字レバーを動かす電動タイプライターです。
英字とカナ文字が並ぶキー
一番目を引くのは、英字とカナ文字が一緒に印字されたキーです。「Q」の位置に「タ」、「W」に「テ」、「A」に「チ」があり、大まかな並びは現代のパソコンで使われるJISかな配列とよく似ています。
ただし、まったく同じではないみたい。現在のJISキーボードでは独立したキーに置かれている「む」や「ろ」などが、このタイプライターでは別の文字と同じキーの上下にまとまっています。濁点・半濁点や句読点の位置、右端のキー構成にも違いがあります。
現在のJISかな配列もタイプライター用配列を源流にしていますが、その後コンピューター用として整理されています。国立国語研究所によるキーボード配列の解説を見ると、カナとアルファベットの両方を打てるタイプライターの配列が改良されてきた経緯が分かります。

右側には赤い「TAB」「RETURN」、手前には「REPEAT SPACER」というキーがあります。RETURNを押すとキャリッジが電動で戻り、REPEAT SPACERは押している間スペースを連続して送れます。
手動式タイプライターはレバーでキャリッジを戻すため、RETURNキー自体が電動式ならではの装備です。でも調べた感じ電動タイプライターなら必ずキャリッジまで自動で戻るわけではないみたい。活字を打つ部分だけが電動で、キャリッジリターンは手動という機種もあります。実際、海外で紹介されている同じJP-8系のBrother Electric 3000は手動リターンです。JP8-431はキャリッジまで電動なので、このあたりはかなり楽です。
左端には電源スイッチがあります。スイッチを入れるとモーターが回り始め、キーを押したときだけ対応する活字レバーが勢いよく紙へ向かいます。キーの重さは機械式より軽く、弱い力でも印字の勢いが揃うのが電動式らしいところです。ほかのスイッチは何かよくわからないものも多い。ちなみにTABの横にあるスイッチは、印字の色を黒か赤のどちらかに選べるやつです。

欠品していた電源コードを用意する
入手したとき、専用の電源コードは付属していませんでした。本体側の端子は奥まった場所にあり、現在よく使われている電源コネクターとは少し違う形をしています。

そこで今回は、ハードオフで投げ売りされていた2ピンの電源コードを使いました。本体側には3本のピンがありますが、上側の1本を避けるように機器側プラグの中央へカッターで切り込みを入れ、奥まで差し込めるように加工しています。
たぶん上側のピンはアースだと思いますが、資料がなく、現時点では確認できていません。今回の2ピンコードでは上側のピンには接続していません。写真は加工後の機器側プラグです。

加工したコードを差し込むとこのようになります。上側のピンを避け、下側の2本だけへ接続している状態です。

コードを用意して恐る恐る電源を入れてみると、モーター自体は無事に回りました。勘と雑な工作だったけど感電しなくてよかったよかった。しかし、この段階ではモーターのベルトが切れていたため、キーを押してもタイプできません。次はベルトを何とかする必要があります。
ベルトを作り直した方法は分解パートで詳しく紹介します。先に、修理後の動作を見てみましょう。
実際にタイプしてみる
カバーを外し、活字レバーの動きが見える状態で打ってみました。キーを押すたびに一本ずつレバーが跳ね上がる様子と、電動式らしい連続した作動音が分かると思います。
カナ文字を打ったことがないのでクッソ遅いですが我慢してください。。あとリボンがかすれてて文字が見づらいです。すみません。
コンニチハ ワタシノナマエハ ナギサ デス。
と打ってみました。
外装を外して中を見てみる
せっかく動いたので、今度は外装を外して内部を観察します。上のリボンカバーだけなら簡単に開けられますが、その下の大きな外装はねじで固定されています。
まずリボンカバーを外します。この段階ならリボンや活字レバーが見えるだけで、外装はまだ本体に付いたままです。

左右にあるねじを外して、横の外装を押して隙間を作り、マイナスドライバーなどを差し込んで爪を外します(割れないように注意)。


そしてキャリッジを左右に動かしながら上側のカバーを外していきます。

上部の外装を完全に外すと、内部にアクセスできます。モーターの回転をベルト、プーリー、軸、リンクへ伝えて各部を動かす構成です。

キーの動きを伝えるリンク機構
側面をのぞくと、リターンを動かすために細いリンクやばねが何層にも重なっているのがわかります。分解したら戻せる自信ないゾ(‘ω’)

別の角度から見ると、樹脂製の歯車、ばね、金属製のリンクが組み合わさっているのが分かります。

モーターの回転を伝えるベルト
購入した段階では、モーターから内部へ回転を伝えるベルトが切れていました。本体側面には大きな金属製のプーリーがあり、本来はここへベルトを掛けて内部の軸を回します。電源を入れてモーターが動いても、このベルトがなければタイプもリターンも動きません。
海外でも、Brother Electric 3000というJP-8系の機種でベルトが劣化し、細かい破片になるまで崩れていた事例が紹介されています。珍しい故障というわけではなく、この系列の弱点みたいです。。

純正ベルトは手に入らないので、今回は100円ショップで売られていた衣服用の平たいゴムを使いました。プーリーへ掛けた状態でほどよくテンションがかかる長さを探し、端をホッチキスで留めて輪にしています。かなりアバウトですが、今のところは一応動いています。

海外の修理例では、レコードプレーヤーや映写機などに使う平ベルトが代用品として挙げられていました。径と幅が合うものを探せれば、衣服用ゴムよりこちらのほうが長持ちするかもしれません。
実際に動作しているところも短い動画にしました。
さらに奥には50Hzと60Hzを切り替えるためのレバーがあります。ここを切り替えれば全国どこでも使えます。この時代だと周波数が固定の場合もあって住んでる場所によっては使えないこともあるんでね。切り替えられるのはうれしい。
ここにあるということは、ユーザーに触らせる気はなさそうというのが伝わってくる。こちらとしては面倒な話。製造時か出荷時にメーカー側が決めてるんですかね?

まとめ
ブラザー JP8-431は、現行JIS配列と少し違うカナ配列を備え、印字だけでなくキャリッジの復帰まで電動化した一台でした。外装を開けてみると、手動式タイプライターの構造に電動機構を重ねたような仕組みが詰まっています。
情報が少ない機種なので、保証書と実機を手に入れられたのは幸運でした。電源コードがなく、モーターのベルトも切れた状態から、無事にカナ文字を打てるところまで復旧できたし、中の仕組みもかなり楽しめたので満足。
手動式タイプライターの構造や打鍵感が気になる方は、以前紹介したOLYMPIA Travellerの実機レビューもどうぞ。
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